- 童話時代のうす明りの中に、一人の老人と一頭の兎とは、舌切雀のかすかな羽音を聞きながら、しづかに老人の妻の死をなげいてゐる。とほくに懶い響を立ててゐるのは、鬼ヶ島へ通ふ夢の海の、永久にくづれる事のない波であらう。
- 老人の妻の屍骸を埋めた土の上には、花のない桜の木が、ほそい青銅の枝を、細く空にのばしてゐる。その木の上の空には、あけ方の半透明な光が漂つて、吐息ほどの風さへない。
- やがて、兎は老人をいたわりながら、前足をあげて、海辺につないである二艘の舟を指さした。舟の一つは白く、一つは墨をなすつたやうに黒い。
- 老人は、涙にぬれた顔をあげて、頷いた。
鍬 | サクサクサク……稼ぐに追いつく貧乏なし。 |
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鶴嘴 | 同感! |
花 | 今日は日が照るかしら。 |
向日葵 | ええ、あたしさえその気になれば。 |
如露 | そうは行くめえ。おいらの料簡ひとつで、雨が降るんだ。おまけに、蓮果でも外してみろ。それこそ土砂降りさ。 |
長すぎる。
DIE BREMER STADTMUSIKANTEN
ろばは、前足を窓にのせることになりました。犬は、ろばのせなかにとびあがることにしました。ねこは犬のせなかによじのぼることにしました。おしまいに、おんどりが、ばさばさととびあがって、ねこの頭の上にのっかりました。いよいよしたくができあがると、一、二、三のあいずで、四にん組はいっせいに、音楽をやりだしました。
ろばはひひんとわめきました。犬はわんわんほえたてました。ねこはにゃおんとなきました。おんどりはこけこっこうと、ときをつくりました。とたんに、まどをつきやぶって、一同へやの中へとびこみました、がらん、がらん、がらん、音をたててガラスはこわれました。